神奈川県司法書士協同組合 [運営]相続・遺言のことならお任せください。神奈川県下の組合員の司法書士が対応いたします。

相続とは

  • HOME »
  • 相続とは

落語に"ご隠居さん"が登場する噺がよくありますが、昔は、戸主が健在であっても"隠居"により相続が開始し、戸主の遺産と地位は、家督相続人である長男が単独で相続するのが普通でした。しかし現在は、隠居制度は廃止され、人の死亡だけが唯一の相続開始原因であり、その故人の遺産は、相続人全員の話し合いで決まった者が引き継ぐ(相続する)ことになります。
この相続をめぐり、仲の良かった親子・兄弟間で骨肉の争いが、といった話もよく耳にします。こうした紛争の原因として、地価の高騰、核家族化、相続人の権利意識(主張)の高まりなどがあげられますが、相続に関わる基本的な法律知識の不足が原因となるケースも見受けられます。
このコーナーでは、最低限度身につけておきたい相続の基本知識を紹介しながら、一歩踏み込んで、実際にどんなことが相続では問題になるのかなどを取り上げ、その解決のヒントを示してみました。

▼お知りになりたい項目をクリックしてください。

[Ⅰ]相続に関するスケジュール

[Ⅱ]相続の進め方

相続は、人が亡くなった瞬間から始まります。悲しみのなかでの葬儀、埋葬、死亡届、そして保険・年金等の受け取り、名義書換、等々、様々な手続きを必要とします。とりわけ相続人にとって大事なことは、故人の遺した財産を誰が引き継ぐかを決める話し合い(遺産分割協議)でありましょう。
さて、この遺産分割の話を、相続人の間で具体的に進める前に、まず遺言書の有無を確認しなければなりません。遺産は、遺言書がある場合は、そこに書かれているとおりに、なかった場合は、民法に定める相続人が相続分に従い、または相続人全員での協議で遺産を分割し、引き継がれるのが原則です。ですから、 遺言書の有無は遺産分けをする上で大きなポイントになります。
(なお、遺言については、遺言についてをご覧下さい。)
そして、次にしなければならないことは、相続人の特定と、遺産の内容の把握であります。

[Ⅲ]法定相続人

「相続人は自分と子供だけ」などと決めつけないでください。もしかしたら故人には先妻との間の子供が、 あるいは認知した婚姻外の子がいるかもしれません。そうしたことの有無を確認し、法定相続人を確定する必要があります。 そのためには故人の、13才位から死亡時迄の間の戸籍・除籍・改製原戸籍謄本等を遡って取り寄せて調べる必要があります。

法定相続人とは、民法で定められた相続の権利を有する人で、次に挙げる「配偶者」「子」「直系尊属」「直系卑属」「兄弟姉妹」に大きく分けられます。

1.配偶者

婚姻関係にある夫婦の一方のことを指し、配偶者は婚姻関係にあれば別居中であっても相続権があります。一方、いくら夫婦のような関係にあっても、婚姻届けがされていない内縁関係の場合は配偶者とは認められず相続人にはなれません。

2.子

父母が離婚しても子供は両親双方の相続人になります。養子は、養親の相続人にもなり、実親の相続人にもなります(特別養子を除く)。

3.直系尊属

父母、祖父母、曾祖父母などをさします。直系尊属が相続人になるのは、故人に子、孫などの直系卑属がいない場合に親等の近い者が優先的に相続人となります。

4.直系卑属

子、孫などをさし、直系卑属は原則として常に相続人になります。子が故人よりも前に亡くなっている場合は、孫がその子に代わって相続人になります。これを代襲相続といいます。

5.兄弟姉妹

故人に直系卑属も直系尊属もいない場合は、故人の兄弟姉妹が相続人になります。

6.先妻の子

先妻は、故人と婚姻関係にありませんから相続権はありませんが、故人と先妻との間の子は、後妻の子と同等の相続権を有する相続人になります。

7.婚姻外の子

婚姻関係にない男女間の子(非嫡出子)も、父親の認知によって相続人になります。ただし、その相続分は夫婦間の子(嫡出子)の2分の1になります。

  • 配偶者は常に相続人になります。
  • 本図の場合の相続人は、配偶者と子供4人です。
    もし、子(A)が死亡していれば、その子(孫)が子(A)に代わって相続人(代襲相続人)になります。
  • 子・孫など(直系卑属)がいない場合は、第2順位の父母・祖父母(直系尊属)が相続人になります。
  • 直系卑属もいなく直系尊属も亡くなっていない場合は、第3順位の兄弟姉妹が相続人になります。

[Ⅳ]相続分

遺言書がない場合は法定相続人が、次の法定相続分にしたがって相続できることになります。ただし、必ずしもその割合で分けなくてはならないということではなく、相続人間の話し合いで全員が納得すれば、法定相続分と異なる分け方もできます。 法定相続分とは、民法で定められている法定相続人の相続割合を示したものです。法定相続分は、法定相続人の組み合わせによって異なります。

1.配偶者と直系卑属(子・孫など)が相続人

「配偶者が2/4」「直系卑属(子や孫)が2/4」
直系卑属(子や孫)が複数の場合は、1/2を均等分します。
例えば、子が2人いたら、配偶者が2/4、子が1/4ずつの相続分になります。
ちなみに子は、実子でも養子であっても相続分に変わりはありません。
なお、婚姻していない男女間に生まれた子(非嫡出子)の相続分は、婚姻関係にある男女間に生まれた子(嫡出子)の相続分の1/2になります。

2.配偶者と直系尊属(父母・祖父母など)が相続人

「配偶者が2/3」「直系尊属が1/3」
配偶者の相続分が、前の場合より増えることになります。
父母は実親・養親の区別なく相続できますので、複数の場合は1/3を均等分します。
配偶者がいなければ、直系尊属が全遺産を相続します。

3.配偶者と兄弟姉妹または甥・姪が相続人

「配偶者が6/8」「兄弟姉妹が2/8」
配偶者の相続分が前の場合より、さらに増えます。
兄弟姉妹が複数いれば、2/8 を均等分します。
兄弟姉妹のなかに亡くなっている人がいる場合は、その人に子供(故人からみて甥・姪)がいれば、その子が親にかわって代襲相続します。
甥姪が複数いる場合は、親の相続分を均等分します。

※父母の一方が異なる兄弟姉妹の相続分
「父母の一方が異なる兄弟姉妹の相続分は、父母を同じくする兄弟姉妹の1/2」
例えば、両親の間にあなたと兄(配偶者あり、子なし)の二人兄弟がいたとします。
母親がなくなった後、父親が再婚し、後妻との間に娘(つまりあなたの義妹)が一人できたとします。 その後、父親が他界した後、今回、兄が亡くなった場合、兄の相続人は、兄の配偶者とあなたと義妹の3人です。
兄弟姉妹の相続分1/4をあなたと義妹で分けることになりますが、義妹は、被相続人であるあなたの兄とは母親が異なり半分しか血がつながっていないので、相続分もあなたの1/2になります。
つまり、あなたは相続財産の1/4の2/3(2/12)、義妹は1/4の1/3(1/12)の相続権を持つことになります。

4.異父・異母兄弟の相続分

被相続人に直系卑属(子や孫)がなく、親も既に亡くなっている場合は兄弟姉妹が相続人になります。
その相続分はどうなるのかというと、片方の親と血を同じくする兄弟姉妹は、両方の親と血を同じくする兄弟姉妹の半分だけ相続することができます。
例えば、被相続人が長男(配偶者なし)で、あなたが次男の兄弟二人だったとします。
あなた方二人の母は既に亡くなり、その後、父が再婚し、その後妻との間に子が1人(つまりあなたの義弟)いたとします。
この場合の相続人は、あなたと義弟の2人になります。
ただし、義弟は被相続人であるあなたの兄とは半分しか血が繋がっていないので、相続分もあなたの1/2になります。
つまり、あなたは被相続人の全財産の2/3、義弟が1/3の相続分をもつことになります。
義兄弟が2人いれば、あなたが1/2、義兄弟が1/4ずつということになります。

[Ⅴ]相続財産・債務の把握

故人が遺言書などに財産を書き残してくれてあれば別ですが、いくら家族であっても故人の持っている財産は詳しくわからないものです。土地・建物の不動産は権利証や登記簿などで調べられますが、現金・預貯金・株券・証券、また借金などは、生前に故人から聞いた話とか、身の回りの書類、郵便物とか貸金庫の中などを調べて把握することになります。
相続財産とは、「被相続人に属していたすべての権利義務」のことです。つまり不動産や金銭のようなプラスの財産と、借金のようなマイナスの財産も含みます。親が生きている間は、子供だからといって親の借金を肩代わりする義務はありませんが、親が亡くなり相続財産をすべて受け継ぐ場合は、親が残した借金も相続しなければなりません。

[Ⅵ]借金が多い場合は"相続放棄"を!

相続では、財産はもらうけど借金などの債務は一切引き受けたくない、といった都合のいいことはできません。債務とは、故人が生きていれば払わなければならない税金、借金、住宅ローンなどがそうです。また、故人が連帯保証人になっていた場合の保証債務も相続人が引き継ぐことになります。しかし、相続財産の中に多額の借金があった場合、常にその全部を相続人が故人に代わって返済しなければならないかというとそうではなく、借金などのマイナスの債務と、プラスの財産との比較によって相続人には、次の三つの対応の仕方があります。

1.単純承認

遺産の中に借金などのマイナスの債務がない、あるいは債務はあるけどプラスの財産のほうが多いという場合。この場合は、債務を含む相続財産一切を法定相続分どおり、または相続人全員の協議で遺産を分割して相続することになりましょう。通常の相続はこのパターンで、これを単純承認といいます。

2.限定承認

限定承認とは、プラスの財産はもちろん相続するが、マイナスの債務は、相続するプラスの財産の範囲内で引き継ぎますという制度です。つまり、仮にプラスの財産が1億円で、借金が1億2千万円であった場合、限定承認すれば借金の内の2千万円は責任を負わなくてもよいということになります。なお、この限定承認をするためには、相続開始を知った日から3ヵ月以内に、相続人全員で家庭裁判所に申立てることが要件であることにご注意下さい。

3.相続放棄

マイナスの債務の遺産がプラスの財産をはるかに超えている場合、借金も払わないし、財産も相続しない、つまり相続する権利そのものを放棄し、はじめから相続人でなかったと同様の効果を生じさせる手続きが相続放棄です。この相続放棄を選択するには、限定承認と同じように、相続開始を知った日から3ヵ月以内に家庭裁判所に申立てる必要があります。この場合、限定承認と異なり相続人全員でする必要はなく一人からでも相続放棄は可能です。

[Ⅶ]こんな場合は?

1.相続人が未成年者!

夫が突然死亡し、遺言書がなく、子供は小学生が一人。遺産分割をする際にはどんな注意が必要か?
この場合の相続人は妻と未成年の子ですが、両者が遺産分割協議をするにつき、母親と未成年者の子との間で利害が対立するため、母親は子を代理することは禁じられています。そのため、未成年者については特別代理人を選任してもらう必要があります。
親権を行う父または母と、その子との間で利益が相反する行為については、親権を行う者はその子のために特別代理人の選任を家庭裁判所に申立てなければなりません。つまりこのケースでは妻が、選任された特別代理人(伯父、伯母など身内の人になってもらう例が多い)との間で遺産分割を行うことになります。

2.相続人が行方不明!

相続人の中に行方不明の人や、生死の不明すらわからない人がいると、遺産の分割協議ができず困ったことになります。その場合は、次のような措置を講ずることができます。

  1. 不在者財産管理人の選任申立
    共同相続人の一人が行方不明の場合、他の相続人が家庭裁判所に不在者財産管理人を選任してもらうよう申立てができます。不在者財産管理人は、行方不明の相続人の財産の目録を作り、それを保管できる権限を持ちます。また不在者財産管理人は家庭裁判所の許可を得れば、他の相続人と遺産分割の協議をすることができます。
  2. 失踪宣告の申立
    行方不明者の生死が7年間不明であった場合、親族等は家庭裁判所に失踪宣告(一般失踪宣告)の申立てをすることができます。失踪宣告を受けた者は7年の期間満了時に死亡したものとみなされ、戸籍謄本にもその旨が記載されます。失踪宣告には船が沈没したり、その他の事故などに遭った者の生死が不明のとき申し立てることができる失踪宣告(危難失踪)もあります。

[Ⅷ]不動産を相続したら、まず登記!

相続によって不動産を取得した場合、それが自分のものであることを他人に主張するために登記をするのであり、登記しなければ罰せられるというわけではありません。しかし、これで本当に大丈夫でしょうか。不動産をめぐる相続問題は、とかくスムーズにいかないことが多いものです。つまり登記をしておかないと、後々、困ることが起きるのが不動産相続の常識と考えておいたほうがよいでしょう。

1.登記をしないままでいると、不動産犯罪に狙われることがある

登記をしないで放置しておくと不動産犯罪に巻き込まれることがあります。犯罪の意図を持った者が古い登記簿を見つけて、本人が死亡していることを確認してから本人または相続人になりすまして、印鑑証明書、権利書などを偽造して第三者に売却してしまうこともあります。肉親の間でも似た事件は起こります。兄弟二人が共同相続したはずの土地を、兄が弟の印鑑を盗用して勝手に自分名義の単独所有にする登記をして、これを第三者名義に所有権移転の登記をしてしまった場合などです。とかく不動産をめぐる相続には第三者が介入して事態を複雑にさせやすいのです。

2.登記をせずに放っておくと、権利関係が複雑になる

たとえ不動産犯罪に巻き込まれなくても、長い間登記を放置しておくと相続権のある人が次第に増えて、遺産分割の協議が難しくなり、登記手続も煩雑になるなど、不動産の相続をめぐる法律問題をさらに複雑にさせてしまいます。

お気軽にお問い合わせください TEL 045-226-1565 受付時間 9:00 - 17:00

ご紹介動画掲載中

詳細はこちら

得意分野別検索

司法書士検索

司法書士の皆様へ

こちらをクリック >>>

健康診断助成金のお知らせ

組合ホームページの掲載募集に関するお知らせ

こちらをクリック >>>

ホームページをお持ちでない先生方へ

詳しくはこちら

PAGETOP
Copyright © 神奈川県司法書士協同組合 All Rights Reserved.
Powered by WordPress & BizVektor Theme by Vektor,Inc. technology.